10年前の今日この日に。闘病の記録

2007年3月。ずっと続くと思っていた当たり前の毎日が一変しました。40歳になったばかりの夫に、まさかのがんの診断。あの日、何があったんだろう、何を感じていたんだろう。10年前のふたりそれぞれの日記・記録を、2017年の同じ日付の日に。「あのとき」を改めて読み返します。

ツマ子:不安でいっぱい

ツマ子の日記

2007年3月3日

 

今日はツマ子実家へ。

母はゴルフに行くかもと言っていたが、「起きる気になれなくて」とメール。

オット君のことを心配しているのかなぁ。悪いなあ。

それで、オババの方が具合が悪くならないといいけれど。

 

人参ジュースをつくる。

駅で人参を一つ買い、オット君が駅から実家まで歩きたいというので、

歩いてスーパーに寄る。再び人参。計3袋。

 

オット君は、「ひなまつりだから、何か買っていかないと。プレゼント」

とうれしいことを言う。

切ない。

 

実家までの坂道を歩きながら、

「のどかでいいなぁ、人が生き生きしている」と言っている。

こっちに住んでいればよかったのかな…。

 

実家に着き、オット君がポストから郵便物を取り出すと、

プジョーのDM。

急遽、プジョーに行くことになった。

早速、試乗。

想定していた3ドアは、マニュアルっぽい仕様なので止め、

5ドアのほうに。

 

小柄なオババは、座ると高くて前が見にくいけれど、

運転すると違和感がないらしい。

ハンドルが軽いと慌てていた。

見積もりをしてくれたのが店長で、

思い切って、と出してくれた。どうなることやら。

 

こうして3人で色々回れるのも、今だけなのかなぁ。

ずっと続いてほしい。

わたしの世界は、母とオット君だけなんだ。

オット君が、プジョーで「この車、フランスで見たときに

良いなと思って写真を撮ったやつだよ」と言った。

ああ、あのコンビニ前あたりで対向していった車か。

 

そんな思い出話が出来る人が世の中にいなくなるとしたら、

それはどういうことなんだろう。

旅行も海外もどこも、わたし一人じゃいけない。

 

でも、本人はもっと絶望と失望とパニックなんだろうなぁ。

夜は、入院案内に記入をしながら、

「食事療法」的にいいもの悪いものでふたりでもめながらも、

食べられないものを「無」にした。

 

こんな胸の重石はずっと続くんだな。

オット君と母。ふたり、がん。ふたりがなんとか細々とでも

長生きしてほしい。

 

昨日、病院で、オット君の親戚が

「病院はいくつもみているけれど、あんなショボイ飯の病院ははじめてだ」

「医者にかかったことのないのが自慢なんだ」とか。

 

オット君に元気になってほしい。ずっと一緒にいたいよ。

オット君と母が仲良くしてくれているところを見るのが一番幸せだ。

なんでこの人に、こんなことが起きるんだろう。

わたしのせいじゃないかなぁと思ってしまう。

 

一日が過ぎるのが早い。

オット君は昨日夜はぐったりしていたこえれど、

今日は平気みたい。

 

昨日は検査疲れか、夕飯時、オババとCTの話で盛り上がっていた。

母も、わたしが実際は経験していないから言っても分からないだろうと、

言わなかったことがあったみたい。

 

CTは、針を刺されてボトルを持っていてくださいネと渡されて、

水を飲んで、そのまま5分くらい待っているらしい。

 

手が緊張して硬直するみたい。

なのにボトルを持ったまま、手を挙げたり。

「もうこわくて、挙げられないよ」だって。

「暑くなりますよ〜」と言われると、すぐカーーッと暑くなるんだって。

 

オット君とオババは、いま同じ病院にかかっているのだけれど、

オババは「わたしは地下2階は行ったことがないわ」とか。

そんなことで和めればいいなぁ。

励まし合って、何とか長生きしてほしい。

 

なんでがんなんだろう。

しかも、なんで転移なんてしているんだろう。

微熱があると、現実を突きつけられてゾッとする。

背中も痛む。

お腹もひきつる。

 

「様子がおかしい」ところから、会社の健康相談室に行って、

血液検査をして。

その結果を調べて、大変なことになっているかもしれないと。

最初に調べてから1カ月。

来週1週間もすると入院かな。

 

入院するのも怖いけれど、治療を待っていることも

この間に手遅れにならないかおそろしい。

 

手術、抗がん剤、いろいろはじまる。

退院がどんな状態でできるのだろうか。

入院は2、3カ月かかるのかな。

どうか早く切って、開腹してみたらタチがよくて、切除できて、

あとは様子を見ていきましょう、くらいになってほしい。

ああ、どうしたら治るだろう。

 

肺がんで転移をしている人をネットで見ると、一年もっていない。

血の気が引く。

安心がこない病気だ。夢だと誰か言って。

 

肺がん副腎転移だと根治できる可能性が高い

と医者に言われたというブログ記事もある。

本当かな。

生きている。

 

楽観しようとしているわたしは逃げているんだろうか。

オット君が苦しむのを見るのは嫌だ。

一緒にいるのもつらいよ。

 

あとになって、「あのときは大変だったね」なんて

笑って話せる人もいないのだろうか。

ああ、助けて。

 

オババは夜、リンパマッサージをやるとき、

左を下にして寝ると腰が痛くてダメという。

リンパの腫れ、大きくなったりしないで。お願い。