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10年前の今日この日に。闘病の記録

2007年3月。ずっと続くと思っていた当たり前の毎日が一変しました。40歳になったばかりの夫に、まさかのがんの診断。あの日、何があったんだろう、何を感じていたんだろう。10年前のふたりそれぞれの日記・記録を、2017年の同じ日付の日に。「あのとき」を改めて読み返します。

オット君:入院前、髪を切っておく

2007年3月8日(木)晴れ、寒め

 

9:20起床、11:30出社。

昼はOさんと築地食堂に行った。

平目の昆布締め刺身定食にしたが、とてもおいしかった。

 

監査役が例の小説の新品、八重洲ブックセンターで買ってきてくれた。

なんとも有難い。

ついでに三部作の続きも買ったそうな。

 

その後、Kさん、Oさんと打ち合わせ。

病人には、みんな優しいなあ。

 

打ち合わせ中、Hさんが励ましに一言声を掛けに来てくれた。

そういえば、本日、Oの同期との食事会だった。

打ち合わせ終了後、Hさんに「よろしく」と挨拶にいった。

 

夕方、18:15にあがり、Kちゃんの美容院へ。

最近入ったシャンプー&マッサージがメチャメチャうまい子が

今日もやってくれた。

なんとも幸せな気分にさせてくれる。

 

Kちゃんが来たら、早速事態を話す。

感受性が豊かなためか、やたら反応がよい

心から悲しんでくれているのが伝わってきた。

サラリーマンとは違う。

髪を切っている間中、念じてくれていたらしく、

これまで見たこともない真剣な表情だった。

 

仏教とであり、高野山のお経「オンコロコロ、オンコロコロ」

というのが、病を治すものだということも教えてくれた。

 

切り終えると、「たっぷり念じておきました」

と気合いを込めていってくれた。

すごく励まされた。

 

店を出るとき、店の外では「頑張ってください。絶対連絡ください」

と僕の手を強く握りしめてきた。

散髪後、髪を流しに立ったとき、

「店の子には、俺が帰ってから言ってね」と言ったら、

彼はうなづいた。

 

髪を流した後、「店の子にはしばらく黙ったときます」と彼は言った。

僕は「まあ、まかせるけれど」と言ったが、

彼は自分の胸の内にとどめるつもりらしい。

 

しかし、店の前で強く握手しているのを見た子は、

なぜそんなことをしているのか、不思議に思ったんじゃなかろうか。

 

彼に背を向けて歩き始めると、涙があふれてきた。

でもそれは一瞬で、次の瞬間には強く闘おうという自分になっていた。

 

この男に切ってもらってきて良かった。

入院前にやはりこの男に切ってもらってよかった。

ゼッタイに負けないゾ!

 

背中の痛みは少しずつ増している。

しかし、薬一錠でだいぶ楽だ。

なんとかして流れを変えたい。

 

明日はいよいよクライアントのZとNに挨拶だ。